生命保険契約は、保険契約者個人と保険会社との間の契約です。
被保険者に保険事故が起きた場合に、保険金受取人に対して保険会社から保険金が支払われます。
保険契約者・被保険者・保険金受取人をすべて自分自身とすることもできますし、保険契約者と被保険者は自分であるが、保険金受取人を相続人の誰かに指定するというように全ての役割を別々の人物に指定することもできます。

被相続人である保険契約者が自己を被保険者として、相続人中の特定の者を保険金受取人と指定した場合、指定された者は相続と異なる固有の権利として保険金請求権を取得するため、死亡保険金の請求権は遺産分割の対象とはなりません。

保険金受取人について未指定の場合、保険金受取人は被保険者である被相続人の相続人全員であると考えられます。この場合、相続人全員を指定したものと考え、やはり、相続と異なる固有の権利として保険金請求権を取得したものと考えられるため、死亡保険金の請求権は遺産分割の対象とはならないと考えるのが裁判所実務です。

死亡保険金の請求権については、遺産分割の対象とならないというのが結論になります。

死亡保険金と似たものとして、遺族年金や死亡退職金の取扱についても整理する必要があります。

遺族年金については、遺族の生活保障を目的とするものであることから、遺産分割の対象とならないと考えられています。

死亡退職金については、会社の支給基準や受給権者の範囲や順位などの規定によって遺産生を検討することになりますが、国家公務員については明確に遺産性が否定されています。学校法人や特殊法人の職員についても、遺産性が否定された最高裁判例があります。