遺留分侵害額請求を受けた案件で、相手方から、被相続人が自己の土地上で運営していた月極駐車場の賃料も遺留分算定の基礎財産に含めるべきであるとの主張があった。
しかし、法改正によって遺留分減殺請求権が遺留分侵害額請求権に変更となる際、遺留分減殺の対象財産の果実の返還義務について定めていた民法1036条が削除されていた。
遺留分侵害額請求制度の下では、収益不動産が生み出した法定果実である賃料収入を遺留分の基礎財産に含めることはできず、遺留分侵害額について法定利率(民法404条)による遅延損害金のみ発生するように整理されている。
そのことを相手方に指摘すると、相手方は、駐車場賃料に関する主張を取り下げた。